東山駅、姫川駅

2016/09/21 訪問


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2016年9月21日
時刻は午前5:40
私は森駅の前にいた。
森駅はまだ眠たそうに見える。


2016年北海道弾丸ソロツアー2日目は、この森駅から始まる。


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この日の最初の目的地となる駅は、東山駅。
6:01発の大沼行きに乗る。


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東山駅は、北海道屈指の大好きな駅である。
あの大好きな駅が廃止となると聞いて、矢も盾もたまらず、今回の訪問先に追加した。
駅員に乗車券を渡し、駅ホームへと向かう。


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私にもっと写真の技術があればと悔やまれる。
朝日に照らされる森駅、傘を被った駒ケ岳の情景は得も言われぬ美しさだった。
実際に目で見たこの景色は、こんな画像では伝わらないだろう。
少し肌寒い、清々しい早朝の駅ホーム静寂の中で、キハのアイドリング音だけが響き渡る。


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誰もいないじゃないか。
こんな時間から函館方面へ向かうのは、自分くらいのものか。
と、思いきや、決してそんなことはない。


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発車10分前ほどから、高校生たちがわさわさとキハに乗り込んできた。
というか、私以外の乗客は、みんな高校生だった。
こんな朝早い時間から登校するのか。


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定刻通り6:01に大沼に向かってキハは発車した。
車窓を流れる風景が美しく、私は思わず「わぁ」と感嘆の声を漏らしていた。
しかし、高校生たちはもう見なれたものなのだろう。
興味ないと言わんばかりに、ほぼ爆睡していた。


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森駅のお隣駅である姫川駅が近づいてきた。
ダイヤの都合上、姫川駅は東山駅のあとの訪問予定だ。


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姫川駅に到着。
高校生が3人ほどキハに乗り込んできたのは意外だった。
来年の3月に廃止予定のはずだが、利用者たちは来年の3月で全員卒業するのか?


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姫川を出たキハは東山駅を目指す。
姫川から先の景色は、山岳を走る列車の車窓のそれだった。


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間もなく東山駅。
前方のドアしか開かないので移動する。
運転士に乗車券を手渡し、キハから降りる。


函館本線 東山駅


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午前6:21
東山駅に到着。


朝日が眩しい。
キハが見えなくなるまで、ホーム上から見送った。


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朝露に濡れそぼる東山駅
単式ホーム1面1線を有する地上駅
一日平均乗車人員数は0人


なんという清々しさだろう。
静寂が周囲を包む。
まぁ、空気が美味いのなんのって。


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次に乗る予定のキハは、7:49発の森行だ。
このキハでさきほどスルーした姫川駅に向かう。
が、まだ1時間半ほど時間がある。
少しウロウロしよう。


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ちなみに、晴れた日の日中にこの駅に来れば、こんなにも美しい駒ケ岳を望むことができる。
上の画像は、2013年の夏に訪れたときのものだ。
本当に綺麗っすよ。
東山駅が廃止となる前に、一見の価値があると思われます。


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一度ホームから離れる。
東山駅から出るには、鉄路横に設けられた通路を進む必要がある。


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通路を抜けるとアスファルト敷きの道路に出る。
まぁ、しかし何もない。
駅の周りには民家も存在しない。


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1943年に設置された東山信号場を出自とする。
1949年 東山仮乗降場に昇格
1987年 国鉄分割民営化に伴い、東山駅に昇格
2017年3月 廃止予定


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さて、駅と道路を結ぶ通路の反対側には、いかにも「くさい」築堤が設けられている。
廃駅、廃線好きからすると、これはどう見てもいにしえの鉄道遺構である。
ちょっと探検に行ってみたい。


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道路側に築堤を追っていくと、コンクリートの橋台が現れる。
一旦車道で築堤は途切れるが、さらに車道の反対側の茂みを見ると


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再び築堤が続いてる。


この築堤は一体何者なのか。
ウィキペ○ィアの東山駅のページにも記載されているので詳細は割愛するが、要はスイッチバックの加速線である。


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上の画像は、1944年に撮影された東山信号場の航空写真だ。
国土地理院の航空写真閲覧サービス出典。
画像中央が東山信号場、蛇行しているのが函館本線であり、右上側が姫川方、左下側が駒ケ岳方となる。
蛇行する函館本線とは別に、東山信号場から一直線に伸びる線系が見える。
これがこの加速線である。


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1976年時点では、既に加速線の橋は撤去済だ。
この時点ですでに、現在とほぼ変わらない閑散ぶりである。


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かつては勢いを付けるべく、この築堤の上を大きな車体が走っていた。
使用されたのは1948年までとのことだが。


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しっとりと濡れた茂みを掻き分けつつ、足を踏み入れる。
決して気持ちの良いものではないが、虎穴に入らずんばだ。
北海道に来てまで何をやってんだ俺は。


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築堤の上に辿り着いた。
上の画像が駒ケ岳側、下の画像が姫川側になる。
まぁ、こうなりますよね。
しかし、何十年も前にこの築堤上で車輪が音を軋ませていたと思えば、愛しさも一入だ。


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ここからは東山駅がよく見える。
ここでしゃがんで乗客を待ち、ホーム上に人がやってきたときにガサッと現れるアテクシ!
実行できるのはいつになるかわからないですね。


というわけでホームに戻る。


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あまりにも暇なので地鶏
もとい、自撮りである。
股間がやけにもっこりしているように見えるが、決して閑散駅に来たことで興奮しているわけではない。


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暇すぎて上半身裸になる。
安心してください、はいてますよ。
あまりやりすぎると、いわゆる「事案」として報告されかねないな。


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さて、そろそろ姫川に向かうころだな。
どうせなら上半身裸のままでキハに乗ってもいいが、それこそ「事案」になってしまうので、ここはグッと我慢してTシャツを着る。


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キハ氏がやってきた。
おーい!ここだ!停まってくれ!
ちゃんと着ているぞ!


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よかった。
ちゃんと停車してくれた。
というわけで、定刻通り午前7:49。
東山駅を離れる。


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すぐ姫川駅である。
休憩している暇はない。


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キハから降りる。
午前7:53。
姫川駅に到着。


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ぐっばいキハ氏
まーた一人ぼっちだよ。


函館本線 姫川駅


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さて、またうろうろするか。
とはいえ、この駅もまた2013年に一度訪問済なので、あらかたのことは理解している。


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1913年 姫川信号所として開設されたことを出自とする
1951年 姫川仮乗降場に格上げ
1987年 国鉄分割民営化に伴い、姫川駅に昇格
2017年3月 廃止予定


一日平均乗車人員数は0人だそうだが、いやいや、本当か?それ。
朝、3人の学生がこの駅から乗り込むのを見たばっかだよ。
夏休みとかの長期休暇を含むと0になるということなんだろうか。


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相対式2面2線を有する地上駅
両ホームは構内踏切で連絡している。
列車交換が可能であり、特急と貨物が列車交換を行ったりもする。
姫川駅が廃止となったとしても、この信号場としての機能は継続されるだろう。


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需要がるのかどうかはわからないが、1947年に撮影された姫川信号場の航空写真を。
交通手段は鉄道がメインだったころ。
周辺にも何軒か家があったんだね。


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1976年になると、国道5号線が整備され、駅周辺にあった家も無くなってしまった。
東山駅同様、現在と比較してもほぼ雰囲気は変わっていない。


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構内踏切から東山方を見る。
日光の関係か、白けてしまって何も見えない。
が、時間と天気の都合さえ良ければ…


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東山駅同様、このように美しい駒ケ岳を望むことができる。
上の画像は2013年の初訪時に撮影したもの。
これまた一見の価値のある駅風景と思われる。


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待合室に掲げられた駅名板は達筆である。
待合室内は、日当たりがよくポカポカとしている。
木造よろしく、甘い木の香りが室内に広がっている。


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次に乗るキハは、午前9:30発の長万部行きである。
これに乗って、八雲まで向かう予定だ。


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待合室の隣は保線員の詰め所となっている。
もちろん中には入れないので、ガラス戸越しに撮影。


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トイレ発見!
突入やで!


グッ… ガッ…


開かんやないか。


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まだ次のキハまで一時間以上時間がある。
暇だし探検に行こう。


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以前、この姫川に来たときは、夏真っ盛りで虻の大群に襲われて先に進むのを断念した。
これが姫川駅へと繋がる唯一の道である。
信じられますか、これが天下のJR北海道様の駅と、外界を結ぶ唯一の道ですよ。


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道の分岐地点にはこのようなセンスの良い案内板が設置されている。
おそらく地元の方の手作りだろう。
愛されていますね。姫川駅。


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日中はいいよ。日中は。
街灯が一切無いからね!?
これは夜なら肝試しレベル。


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人の気配が全く無いわけではない。
駅からしばらく歩いて行くと、森の中のペンションよろしく、民家がポツリポツリと存在している。


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ハチミツ屋さんでした。
横を通ったとき、ふわっと甘い香りがした。
ハチミツ屋さんの隣には、金属でアートを作られるアトリエのようなお宅も存在した。
なんとも表現できない不思議な印象だった。
こんな森の中に、モダンでポップなエリアが存在するなんて。


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さらに奥には真新しい太陽光発電所が存在した。
ハピネスひまわり太陽光発電所だそうな。


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さらに進むとやっとアスファルト敷きの車道に出る。
駅から約13分ほどの道のりだった。


上の画像は振り返って撮影したもの。
砂利道の入口には、「姫川駅」とこれまたセンスの良い金属製の案内が設置されていた。
これが無ければ、ここが駅の出入口だとは誰も思うまい。


駅に戻る。


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往復30分足らずの良い森林浴だった。
待合室でしばらく時間をつぶす。
その間、姫川駅を撮影しに来られた方が何名かいらっしゃった。


さて、そろそろキハがやってくる頃か。


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構内踏切を渡り、スタンバイする。
姫川、東山ともに、やはり素晴らしい駅だった。
廃止となる前に、もう一度来ることができてよかった。


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午前9:30分
定刻通り長万部行きが発車する。
ぐっばい姫川駅


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森駅に到着したキハは、20分ほど休憩して長万部に向かう。
長万部に向かう途中、キハ内から桂川駅を見る。
今日はさすがに降りないですよ。


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海原が美しい。
鉄道の車窓越しの景色というのは、自動車からのそれとは比べ物にならないほど心にくるものがある。
「旅をしている」という気持ちが、そうさせるのだろうか。


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午前10:44
八雲駅に到着する。
実に良い天気である。


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さすが要衝駅
姫川や東山とは違う。
大人気じゃないですか。


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さて、景色を見るのなら鉄道からの車窓に限るみたいなことを書いておきながら、時間の制約上、ここからはレンタカーでの移動になる。
それでも良ければ、以降の記事も読んでいただければ幸いです。


まず向かったのは、八雲駅のお隣
鷲ノ巣駅跡。


函館本線 鷲ノ巣駅跡


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まー、これでもかと言わんばかりに何もない。
駅施設は完全に撤去済だった。
やっぱ今年の3月に一回行っておくべきだったなぁ。
これほどまでに撤去が早いとは。


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駅と車道を繋ぐ砂利道を戻る。
これは51駅が廃駅となった場合、その後に往時を偲ぶ旅をする暇も与えてくれそうにないな。
JR北海道、おそろしいこ!


次は昨日スルーした蕨岱駅に向かう。


函館本線 蕨岱駅


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貨車駅となって久しい蕨岱駅
1904年に一般駅として開業
2017年3月廃止予定


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単式ホーム1面1線を有する地上駅
一日平均乗客人員数は0
たしかにここは0かもしれない。


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意外と貨車の待合室の居住性は高い。
夜は蛾の量がヤバイそうなので、ドアはきちんと締める。


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駅前通り
何もない。
廃墟と神社しかない。
しかし、国道5号の自動車の往来はそこそこ多い。
蕨岱の小集落は、この駅から結構離れたところにある。


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駅前にあるニセコバス ワラビタイ駅停留所
一日2往復である。
いわゆる地獄表というやつだ。


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靴がそこかしこに捨ててある。
結構怖いからw
持ち主はどこに行ったんだよ。


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駅前にある民家は廃墟となっている。
廃墟は趣味の範囲ではないので、中に入るまではしていない。


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そしてもう一つ駅前にある神社
こっちはちょっと行ってみよう。


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キリッ


なるほど。
おいなりさんか。
お参りして帰ろう。


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ヨイショ ヨイショ


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・・・閉まっとる。
廃神社なんか。
でも茶色い扉はまだそこそこ新しいようにも見えますが。


よし、戻ろう。


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蕨岱駅
今でこそこんな貨車駅となっているが、1987まではプレハブ型の駅舎兼待合室だった。
民家ももう少し多かった。


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上の画像は1948年に撮影された蕨岱駅周辺である。
縦に走っているのが函館本線、中央が蕨岱駅、上が黒松内方、下が二股方となる。
駅右下に写っているのは、山積みされた木材だろか。
今よりも活気のある駅だったに違いない。


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今は昔か。
そう言って、何でもかんでも無くしてしまうってのはどんなもんなんだい?
理に適っている?
そうだね。そのとおりだ。
そして機能だけが追求され、無機質なものばかりが残っていく。
過去に思いを馳せる余地は、ネコの額、スズメの涙ほどにも存在しない。
それが現代という時代なのだろう。


なーんてことは考えてもいないが、無くなるのは残念だ。
もし次に来る機会があれば、雪の中のこの駅を見てみたいなと思う。
では、次の駅へ。


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美しい海である。
ここは長万部町内より望む内浦湾


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その後ろを見ると、このような場所がある。
目の前に見えるのは国道5号大沼国道だ。
その奥の平地には、函館本線が通されている。


函館本線 旭浜駅跡


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何も残ってない。
ここに2面2線の相対式ホームを有する地上駅、旭浜駅があった。


1943年 旭浜信号場として開設
1969年 旭浜仮乗降場に昇格
1987年 国鉄分割民営化と同時に旭浜駅に昇格
2006年 利用者僅少に伴い廃止


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1976年に撮影された旭浜駅航空写真
千鳥状に設置された盛土形式のホームが存在している。
比較的最近に廃止された駅であることもあり、ネット上現役時代の旭浜駅の画像がUPされている。


というわけで、二日目はここまで。
この後、静狩駅などを訪問し、4時間近くかけて富良野まで爆走した。
次回は、東鹿越駅をはじめとする南富良野近辺の駅、および留萌 - 増毛間の駅のことを記事にしたい。






JR北海道函館本線 東山駅



2016/10/18 公開

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